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家に帰り、洗濯物を入れ、風太を着替えさせ、ご飯の準備をする。
寝るまでの間に詰め込まれたスケジュールは、毎日一緒だし、ちょっとでもズレるとドッと疲れが増す。
飯、会社で済ませる。
淳からの素っ気ないメールは既読無視して、聖子は風太に寄り添いながら寝かしつける。
「かーか、つめたいね」
水仕事した手を握ってくれる風太。
君がいてくれるから、立ち上がれるんだ。
「風くんは、あったかいねぇ」
「かかも、あったかくなーれー」
彼の空気にみんなが引き寄せられる。
あの言葉を、宝物にして心にしまう。
父親に挫折した夫に、何とか自信を取り戻してもらおうと頑張った時期もあった。
けれど、聖子が気遣えば気遣うほど、淳の心は2人から離れていった。
いっそのこと、浮気でもしてくれれば
佐々木の言葉が、聖子の頭に響く。
例え浮気が発覚しても、きっと私は悔しんだり、怒りをあらわにしたりしないだろう。
もう、夫婦の絆なんてとっくに枯れ落ちているんだ。
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