比べてばかり

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『もくすぐ来るゴールデンウィークに向けて、観光地では様々なサービスが始まっています』 ゴールデンウィーク。 それが何なのか思い出すまで、時間がかかった。 「ごーふでんあーくってなーに?」 「ゴールデンウィークね。5月の最初にある長いお休みだよ。去年、ばーばのお家行ったでしょ?」 保育園も休みになる。 夫はもちろん仕事。 例え休みになっても、王様は「1人にさせろ」と一言だろう。 今年はどうしようかな。 「風くん、行きたいところある?」 「ぶーさんこーえん」 近っ! 歩いて10分もしないよ。 「ぶーさんこーえんなら、とともいくかな?」 あんなに冷たくされても、夫を想う健気な息子が愛おしくてたまらないし そんなこと1ミリも考えてない夫が、憎くて仕方ない 「ととはお仕事だと思うよ」 変に期待させない。 これは、経験からの最善の手だ。 「ん。そーだね」 静かに納得する風太。 どうして、息子と自分が心を痛めなければならないのだろう。 「さ、保育園行く準備しよう」 「あーい!」 その声に、うるさいと言ったのか、寝室からドアを蹴る音がした。
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