27人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ、あの先生は?」
思わず言葉に躓いた。
「あー、すみません。近くの大学生さんで、ボランティアで来てくれたんですけど、まさかあんな髪色で来るとは思わなくて。
園長先生、カンカンですよ」
「ですよね」
あの髪色で保育園にボランティアに来れるなんて、強靭な心の持ち主だ。
「今日一日だけなんで、すみません」
「あ、いえいえ!」
風太もブロックをやめて、聖子の元に来た。さやか先生は他の保護者対応へ。
荷物の準備をしながら、今夜の晩御飯を考える。
靴下を履かせようとしたら、風太が怒ってしまった。
「もみじせんせー!またぁねぇー!」
「おう。またね」
赤髪の大学生が近づいてくる。
風太、、何故声をかけた。
「あ、えっと、お、お世話になりました」
何故こちらがぎこちなく挨拶をしなければならないのだろうか。
「ふーたくんって、人望ありますね」
「え?」
赤髪の先生が、真っ直ぐこちらを見つめる。
「まだ小さくて、何もできないから友だちが寄ってきてるんかな?って思ったんだけど
みんな、ふーたくんの空気に引き寄せられてんすね」
心臓の音が
大きくなる。
「今日1日しかいなかったけど、何となく分かりました。ふーたの醸し出す空気。癒しっつーか、なんつーの?上手く言えないけど」
その言葉の後に「あ、ふーたくん。くん。すみません」と付け加える赤髪。
そんな赤髪の言葉に、涙を必死に止める聖子。
そう。
そう、誰かに言ってもらいたかった。
早生まれだから、小さいから、赤ちゃんみたいだから、ではなく
風太自身が何か持ってるから、友だちが寄ってきてくれるんだって。
最初のコメントを投稿しよう!