中谷聖子の生活とは

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「あ、ありがとうございます。 初めて、言われました」 聖子が涙を隠すように、頭を下げた。 「いや、すんません。思ったこと言っただけなんで」 外見で判断していたのは、自分も一緒だ。 「もみじせんせー、あしたくる?」 「いや、もう来んなってさっき言われた」 でしょうね。 「ふーん。じゃあ、げんきね」 元気でね。って言いたかったのね。 「おう。タッチ」 細くて長い、真っ白な手は、大学生という若さがにじみ出ていた。 髪のインパクトで気づかなかったが、よく見るととても整った、美人さんだ。 「じゃあ、紅葉先生も頑張って!」 何をだ?と思ったが、とりあえずガッツポーズも付けておいた。 「あざーす。 てか、お母さん」 ん? 「むっちゃいい声してますね」 そんなことを言われたのも、初めてです。
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