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そんな風に日々を過ごしていた頃、魔女狩りの餌食になったミラを裁判で見かけた。金色の髪に青い目の、庶民にしては可愛らしい少女だった。だが、青ざめ、絶望し、悲嘆にくれる姿はそれまでの娘たちと何ら変わらない。特に面白みもなかった。
けれど、火刑の寸前。
気まぐれで見物に行ったシェスは、ミラが悲しげに微笑むのを見た。……とても、綺麗だった。
彼女は自分の瞳と同じ色の空を見上げた。そうして、静かに目を閉じたのだ。
欲しいと、思った。
気づけば、その場の人間を魔術で皆殺しにして、眠らせたミラを抱えて走っていた。火などにくれてやるには惜しかった。その足でミラの家に行き、家族全員を家ごと燃やした。
当然、神官長の座から転げ落ち、異端の魔術師として国家に追われた。襲い掛かる刺客を殺して、殺して。一体どれほどの人間を死体に変えただろうか。
それでも、鎖に繋いだミラに会う時だけは、神官長のふりをした。
魔術師であると言う事実を知られたくなかった。ミラにだけは、絶対に。
心の欠けた死に損ない。笑わない少女。
時折苛立っても、会わずにはいられなかった。鎖に触れるたびに安心した。
決して、愛してなどいなかったけれど。
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