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「ねぇ千恵?」
私はその声に呼ばれて目を覚ました。
「由香?」
「由香?由香って誰?私、真昼だよ?千恵ったら変なの」
幼い頃の由香にそっくりなそんな女の子は真昼と言った。私は何故か千恵と呼ばれる。
「もう休憩いいでしょう?歩くよ!」
「え?どこに?」
「もう!十和田湖に決まってるじゃん!千恵が行きたいって言ったんじゃん。お父さんの故郷を知りたいって!」
ああ、思い出した。私と真昼は青森の田舎の生まれで、私のお父さんとお母さんは離婚して、お父さんは故郷の十和田湖に帰ってしまって、お父さんに会いたいと泣いていた私を真昼が連れ出したんだ。
もうどのくらい歩いたんだろう。
よく分からない地図とにらめっこして、山の中に来たんだ。
頑張らないと。
「うん。真昼行こう。頑張ろう」
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