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だが、暗がりの山道を通る車はほとんどいなくて、私たちはずっと星を眺めていた。
時計なんか持っていないから時間だって分からない。
「お父さんに会いたいよね」
「うん」
「絶対会わせてあげるから」
「うん」
「頑張ろうね」
「うん」
ずっと私を励ます真昼。
暗闇の中、私の目からは涙が流れていた。
そのまま黙りこくり立ちすくむ私たちにその音は聞こえてきた。
ぶおんと耳に響く車の音。
私たちは駆けていく。
車に向かって。
「止まって!」
二人で飛び出した車道。
私の記憶はそこで途切れた。
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