仏法と小説

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序 仏法と小説 仏弟子に小説を書くことは許されるか。経文と小説の内容や通説から答えは否という答えがありがちである。仏法では虚妄を説く事を禁じられているが、小説は流言綺語といわれるように、事実に基づかないことを巧みに飾り立てて言葉を流す事がある。復、十不善の業道の中に綺語がある。どちらも成仏の妨げになる。小説とは何か、によって、成仏の妨げになるかならないかは変わるかもしれない。が、いずれにせよ、上述の二点の咎を免れなければ小説家は地獄行きである。邪法を以て人をたぶらかすのは謗法である。  是で論を終えればそれでおしまい。世界から小説は消え去っていくだろう。成仏不成仏に関わることを思えば、小説を書く書かぬは枝葉の事といえるだろう。だが、それでも書く必要があるとすれば、小説の立脚する大地を定めなければならない。仏法に依義して。  そのような理由で本考は進められていく。
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