事務局長の穏やかな日常

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「全然関係ないけど、桐生さん、体脂肪どのくらい?」 「今、4%です」  ちょっと反省しよう。  いつの間にか隣を歩いてきたクロネコが、私の足元を一回りしてからぴょいっとベンチに上がる。姿勢良く座っている姿は、このスタイル羨ましいだろうと言わんばかりだ。  このやろう。腹がたつ。  やっぱりササミ肉を買うのはやめよう。 「とりあえずさ。俺たちがやったことは無駄じゃなかったってことだよな――まあ、俺たちっていうか、主に頑張ってくれたのは桐生さんだけど」  ただの事務員の私たちには、何もできない。  そう打ちひしがれもした。  だが、できることをしようと足掻いたら、私たちをきっかけに、大きな流れが生まれた。  私たちには看護師のように患者に寄り添う事も、医師のように直接痛みに立ち向かう事もできないが、それでも、できることがある。  少なくとも、今ここに入院している人たちが安心して治療に臨める環境を作ることはできそうだ。 「友利さん。もし、ご自身の影響が小さなものだったと思っているのであれば……それは違います」
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