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「またそんな本を読んでるの?」
アンナの母親は、底の深い鍋に油を注いでコンロの火を点ける。ブロジアの地面の下には黒い石油という油が流れているが、ドワーフの体には有害なため、ブロジアで育てた菜の花の油を使っている。
鍋の中の油が沸騰し、ぱちぱちとあぶくをたてたところで、作りおきしておいたポテトサラダをおたまで掬い、卵と小麦粉を混ぜたものの中に浸すとそこに投げ入れる。
「今日はコロッケだぁ」
アンナは鍋の中でぴちぴち油をはねながら、浮き沈みするポテトサラダがまるっとしたコロッケに変わっていく様子を眺めてそういった。
こんがり小麦色のコロモが美しく、芳ばしい臭いも鍋からふんわりとアンナの鼻腔にやってくる。
「美味しそうっ!」
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