一話 正義が勝つとは限らない

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一話 正義が勝つとは限らない

 心地よい風が吹く。今日も、さわやかな朝の光景が私の高校では繰り広げられていた。  そう。私を中心に、今日も学校中が笑顔で回る。当たり前の日常は、今日も始まる。 「珊瑚ちゃんっ」 「藍海(あいみ)さん!」  みんなが私の名前を呼ぶ。  そう、私は人気者。みんなのヒーロー。 「どうしたの? 皆」  真面目印の長い黒髪をなびかせ、大きな目でじっと相手を見つめる。背筋はもちろんぴんと伸ばして、制服は程よく着崩し、校則は守る。どこにでもいる、まじめでダサい女の子とはちょっと違うのが、私。
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