第一章◆砂漠の帝国

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不敬にも程がある発言を繰り返すオリヴァーの腹を殴る。 大したダメージにはならないだろうがそんなことはどうでもいい。 だけれど今はこんな不敬な男でも、オリヴァーがいてくれて良かったとも思う。 この国で常に猫をかぶった生活をしていると気疲れを起こしてしまいそうだった。 「猫など被らず本来の殿下のまま接すればきっと即幻滅でしょうが、流石にそれは国の面子というものがありますから」 「そうだな…って、いやいや、俺の素行はそこまで酷くはないだろう」 「酷いですよ?不良のそれですけど」 ムスタファ王子は凄く大人しそうですもんねえとしみじみ呟くオリヴァーにハイドは苛立ちを増幅させて椅子に思い切りもたれ掛かった。 「ああ、どうすればいいんだ。立場上俺から無下にすることは出来ないしな…オリヴァー、お前ちょっと何でもいいから向こうの王族に派手な失敗をしろ」 「嫌ですよ、そんな事をしたら不敬罪で俺の首が飛びます」 「頼む」 「頼まれても…でもほら、あの王子いい子そうじゃないですか」 「そういう問題じゃない」 ハイドが疲弊した顔を片手で隠し項垂れた時、部屋の扉を軽く叩く音が聞こえた。 「はい」 「ハイド殿下、ムスタファです」 「…どうぞ」 噂をすればなんとやらだ。     
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