第三章◆愛憎の行方

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「あんたが抱かないならどうせ女にはなれなかったんだ。元の身分もゴミみたいなもんだしあの豚男の慰み物程度の存在になれて良かったじゃないですか」 ムスタファの目の色が変わった。 ナーヒムは追い討ちをかけるような笑い声をあげた。 「散々出してやったから、今頃どちらかのガキを孕んでるかも知れませんね」 「…っ、お前ぇッ!!」 目の前を真っ赤に染めたムスタファが半月刀を勢いよく振りかざす。 ナーヒムは避ける素振りなど見せず、向かってくる刃に愛おしげに目を細めた。
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