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この人も自分の姿を見たら化物だと罵るのだろうか。
子供は思わず頭を抱えるようにして後ずさった。
「?どうした」
少年が子供に手を伸ばした時、後ずさった子供の背中に何かが当たる。
「そいつに触るなよ!」
飛んできた小石。
甲高い声と共に、少し離れたところから町の子供らしき少年達がこちらに石を投げつけていた。
「なあ、お前貴族の息子とかだろ!」
「そいつに関わるなよ」
「どっかいけ化物!」
子供は身を小さくして次々と飛んでくる石から逃げ惑った。
「どっかいけ!」
「…っ!」
それを見た少年は目の色を変えて落ちた石を掴むと子供達に思い切り投げ返した。
「てめえらが失せろッ!」
「うわあぁっ!」
「雁首揃えて犬の餌にすんぞ!それとも糞になりてえかッ!!」
悲鳴をあげて逃げていく子供たちに少年はふんと鼻息を荒くする。
「くだらねえことしやがって、これだから田舎者はよ」
そう言って身を屈めていた子供に少年は手を差し出した。
子供は呆気にとられたまま少年を見上げる。
「大丈夫か?ほら、立てよ」
その少年はどんな宝石よりも輝いていた。
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