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自分が大砂海帝国の王族の血を引いていることを知ってから取り巻くすべてのものが変わった。
父と名乗る帝王に、その妻である新しい母と年の離れた兄が二人出来た。
人も、環境も、価値観もまるで違う。
唯一変わらなかったのはここでも自分は大臣や貴族からは疎ましい存在であったことだ。
だがそんな悪意はもう気にならなかった。
やがて体は成長していく。
ろくに話せなかった言葉も次第に話せるようになっていった。
教養を付け、武術の鍛錬もした。
この砂の楽園と呼ばれる大国の王子として恥じない人間になる。
――そんなものはただの建前で、本当は彼に見合うだけの人間になりたかった。
彼の存在を再び見つけたのは一年前、16の時だった。
ハイドランジア・ペトラ・エスタシオ。
此処より遠く離れたエスタシオという国の王太子。それがあの時の少年。
てっきり貴族の子息かと思っていた彼が王族だったと知った時には驚いた。
だが今は自分も王子なのだ。同じ立場に立てる。
運命だと思った。
父に頼み込むと意外にもあっさり了承をして貰えた。
三番目ゆえに兄王子達と比べて比較的結婚のしがらみは緩いのか、それとも自分に対する負い目があったのか真意はわからない。
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