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わざとらしい笑顔をはりつけて刺々しさ満載の声を出して笑う。
「覗き見などしている方には言われたくないんですがね」
「覗き見?歩いていたら見えただけのこと」
「それにあの程度いいではありませんか、私達は夫婦になる身なのですから」
「まだ婚儀を交わしていない。よって貴殿は今は妻ではない、軽薄な行為は慎んでもらおう」
「たかが抱き合って口付け程度、まぐわっていたわけでもあるまいに」
「下品な」
生憎だが元から下品なもんでな、とハイドは心の中で唾を吐いた。
苛々する。どうにもスールカーンはああ言えばこう言う男だ。
とにかくハイドを目の敵にしている。
「…これからは義兄弟になるのです。弟として仲良くしたいものですが」
「貴殿が弟?寒気がする」
その言葉でぷつっとハイドの中の糸が切れた。
もういい。これからはこの男とも縁者になってしまうのだ。自分もずっと心の底に溜まっていたことを言ってしまおう。
苛立ちを我慢するのはどうにも性に合わない。
そう思いハイドは一歩スールカーンの前に歩み出て目線から少し高い彼の顔を見上げた。
「まだ来訪して間もない頃から毎度私に突っかかってきて下さいましたね、嫁いびりでしょうか。流行りませんよ」
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