第四章◆覚悟と誓い

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廻廊から繋がる露台に出ると、日は少し傾き空がじわりと赤く色づき始めていた。 宮殿の高い露台からは王都の町並み、国を取り囲む緑の森、遠くに広がる砂漠までもが一望できる。 砂漠はどこまでも広く砂丘が海の波のようにも見える。大砂海帝国の名の通りだ。 「無駄な体力使って疲れた」 やっぱりまだ本調子じゃねえか、とハイドはひとつ伸びをした。 少し歩き回り喧嘩をしただけでこのざまだ。寝込んでいるうちに随分体がなまってしまったらしい。 「すみません、スールカーン兄様があんなことをするなんて…普段はとても思慮深い方なんですが」 「思慮深いねえ…」 石の欄干に背を預けると隣に立ったムスタファが申し訳なさそうに頭を下げた。 別にムスタファに腹が立っているわけではないのに。ハイドは複雑な気分になりながら耳を指で掻いた。 「お前の兄貴は昔からあんなかよ」 「右も左も分からない俺を王子として教育して下さったのはお兄様方ですから…今でもよく様子を見に来られるのです」 「過保護だな」 「俺が未熟故にです」 そう呟いたムスタファが欄干にそっと手を置く。 乾いた風が艶やかな黒髪を揺らした。     
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