終章◆二人の未来

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「ならハイドは白にしましょうね、帯は王妃様から頂いた銀刺繍のもの、飾りはダイアモンドか真珠にして…」 「げ…宝飾までつけんのかよ」 「心配なさらないで、耳飾りや腕輪や足輪程度に留めるから」 何なら髪に編み込むという手もあるわという提案をハイドは渋い顔をして丁重に断った。 流石にそんな女性的な飾り方は拒否反応がでる。ただでさえ婚礼衣装として面紗まで被らなくてはいけないのだ。 「ハイドは男性だし…そこまで華美にしなくともいいんじゃないか」 ムスタファが気を使ってやんわりと助け舟を出したが、ジャーミアは首を振った。 「婚礼衣装は一度きりですもの、少しくらい華美にいきましょう」 ジャーミアの意見にファティマもそうですわ!と賛成する大声をあげた。 「ハイド様がお美しくなればなるほど、ムスタファ様を悪くいう大臣共の鼻が明かせますもの!」 「ファティマそんなに野心剥き出し?」 拳を握りとにかく貴族達への対抗心をめらめら燃やすファティマはずいっとハイドに詰め寄った。 「いえ、むしろ大臣や貴族のご息女を虜にするくらいの勢いで!後宮の女官を手玉に取られた時のように!」 「な、何だその手玉って…?聞いてないぞ!」 「あ」 その言葉でムスタファが顔色を変える。 しまった、という顔をしたファティマはすぐさま口をつぐんだ。     
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