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にやにやと笑うハイドに何かを言おうとするが、それよりも先にオリヴァーの腕をジャーミアが掴んだ。
「お覚悟を決めなさって?」
ひくっと頬を引き攣らせたオリヴァーが後ずさる。
温和そうなジャーミアの笑顔はたまに妙に恐ろしい。
「ちょ、ちょっと待て」
「待ちません。ファティマちゃん」
「あ、はい」
「待て、わかった。わかったから二人がかりはやめるんだ」
女二人に寄り付かれ、諦めてされるがままになるオリヴァーにハイドとムスタファは顔を見合わせ笑う。
ムスタファは絨毯の上に畳まれた天鵞絨の布地を見て、ハイドに囁いた。
「婚礼衣装の貴方を見るのが今から楽しみです」
「飾り立てるのは苦手だけどな…その日はお前の為に一番綺麗になってやるよ」
二人はそっと手を繋ぐ。
そして誰にも気づかれないように口付けた。
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