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だがそんな事を今ここで気取られては折角の友好関係が危うくなる可能性もある。
形だけでも今は大人しくしておこうとそう思った。
「兄弟は揃っておりますのでご挨拶を」
アリージャのその言葉に二人の男がすっとハイドの前に現れた。
二人とも長男のアリージャとよく似ており、美しい容姿をしている。
だが二人揃ってその表情には笑顔も浮かべておらず、人当たりの良さげなアリージャよりは気難しそうな雰囲気だ。
「第二王子のスールカーンで御座います、お会いできて光栄です」
アリージャよりも高い身長に黒い短髪の男はそう名乗った。
固く閉じられた口元からはいかにも厳格でお堅そうな性格が垣間見得る。
そしてその隣にもう一人。
「第三王子のムスタファで御座います。此度殿下を迎えられる日を心待ちにしておりました」
スールカーンよりは長いが短く整えられた黒髪に、孔雀石のような深い緑の瞳、まだ少しばかり幼さの残る雰囲気。
彼こそがハイドに求婚をしてきたムスタファ王子だ。
「(この男が…)」
ハイドは少し目を見開く。
無礼とは理解していながらもムスタファをまじまじと見つめた。
「(ふざけるな!ガキじゃないか!)」
そして毒づいた。
目の前にいるムスタファの容姿は明らかにまだ10代のそれだ。
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