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タカラバコ
あなたとの沢山の想い出が詰まった宝箱。
その中に何も入れることがなくなって、もう何年経つだろう。
あなたが見ていたレンズ越しの世界。
その中にあなただけがいなくなって、もう何年経つだろう。
色褪せない幸せ。
渇いた現実。
記憶の中のあなたは、いつだって笑顔で私を元気づけてくれるけれど、同時に寂しさが募っていく。
不安で、切なくて、だんだんと胸が押し潰されそうになる。
込み上げてくる様々な気持ちを、もう、抑えられない……!!
――――ふいに、私の名を呼ぶ声が聞こえる。
忘れられるはずもない、いつまでも記憶の底に残る懐かしい、優しい声。
ああ……ずっと言いたかった、でも言えなかった言葉。
溢れ出る感情に乗せて、それを今やっと彼に伝えられる。
「――おかえりなさい」
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