夏と私と子供と猫と

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夏と私と子供と猫と

 夏は嫌いだ。蒸し暑くて、日焼けするし、汗でベタベタする。      ミーンミンミンミン ミーンミンミンミン  うるさい蝉の鳴き声を聞きながらシャクリと棒アイスを齧る。氷状のアイスを食べる度頭がキーンとする。    夏は嫌いだけど、このアイスを食べた時の爽快感は好きだ。自分の嫌な気持ちも全部溶かしてくれる気がする。    アスファルトの焼けた匂いは好きじゃない。虫が飛ぶ音も好きじゃない、蝉の鳴き声も喧しい。  だから夏は嫌いで、だから夏が早く終わればいいと思って今日も歩く。    高いところで結った黒髪がさらさらと風に流れて、空を見上げれば青い空に真っ白な雲が流れる。    かさりと手に持った紙袋が音を立てる。意味もなく作るこれも、きっと無意味で。私がこうして夏休みに行くこともきっと意味なんてないんだろう。    ただ行って、ただやることをして、こうして持ち帰って。必要も無いものを私は重たい思いして家に…その度やるせない気持ちになるのだから行くのをやめてしまえばいいのに。  またしゃくりとアイスを食べて。楽しげに遊んでいる子供たちがいる川辺に目を向ける。きらきらと陽の光を反射した水はどうにも綺麗に見えて、それが酷く物寂しく感じる。
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