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もう何年になるのかな?
やっとこんな気持ちになる事が出来た。
10年前。
今まで何一つ病気もしないで毎日忙しく働き、親、子供、孫の面倒を一生懸命みていた親父。
突然体調を崩して病院に受診した。
「大した事ないから心配しなくて大丈夫だぞ」
そう言って病院に向かった。
そのまま入院。
診断は、後腹膜に何か腫瘍のようなものがあり、精密検査の必要があった。
とにかく人の面倒を見る父親であり、親戚中で信頼を集めていた存在だったので、身内のみんなが大慌て。
「すぐ退院するから。」
親父の言葉にも不安が混じっていたと思う。
それから数日がたち、検査結果が告げられた。
多発性後腹膜腫瘍。
膵臓由来の腫瘍だが、周りの臓器に浸潤している。
ただ、この数日間で確実に大きくなっており、医師の間でもはっきりした病名がつかないとの事だった。
いくつかの精密検査が必要となり、大きな病院とはいえ短期間では終えることが出来なかった。
すべての検査が終わるまでに2週間を要した。
その間にその腫瘍はどんどん大きくなってきたおり、親父の体力も落ちてきている事が見て分かった。
やっと手術の日程が決まった。
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