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ただ、医師から言われた言葉が・・・。
「お腹を開けてみないと分かりませんが、身体の大きな血管に腫瘍が浸潤していたら取り切れず閉腹する事になります。」
「それって・・・。」
私が少し強い口調で言うと。
「残念ですが検査の結果で、まだ日本では解明出来ない種類の腫瘍で、抗がん剤や放射線治療の効果も期待出来ないと思って下さい。」
え?
どうしてそんな病気に、あの元気だった親父が・・・・。
手術が始まった。
とても長い時間かかった手術だった。
手術中のランプが消えて、中から親父が出てきた。
いっぱいの管や点滴をつけて。
看護師に、医師からの説明があるのでと言われ家族カンファレンス室に案内された。
私たち家族は胸騒ぎを飲み込みながら医師の到着を待っていた。
医師が部屋のドアを開けた。
「齊藤さんは、食道の一部、胃全摘、肝臓の半分、膵臓全摘、脾臓全摘をしました。」
え?知っている内臓の大部分の名前が告げられた。
しかも話には続きがあった。
「ただ・・・、すべての腫瘍は取り切れず、腹部の大動脈にも浸潤していて切除すると大出血して死に至る事になるので・・・。」
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