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 整の細い腰に跨がった曽根が、興奮した面持ちでシャツのボタンを外していく。直に触れる指先を感じて、整は両の拳を強く握りしめ、顔を背けた。そうしている間にも曽根の指が、舌が、整の上半身を這い回る。胸先を甘噛みされて、吐息が零れそうになる。拳で口元を覆い、声が漏れ出すのを必死に耐えた。  胸への愛撫が終わると、今度は下半身に触れられる。ズボンを下着ごと剥ぎ取られ、固くなったものを確かめるように緩く抜かれた後、両脚を大きく開かされ、曽根の指は性急に後ろを開き始めようとする。慌てて手を伸ばし、サイドボードからハンドクリームを取り出した。  指を抜くと間を置かずに、曽根は整のなかに入ってきた。  すぐ側で友人が眠っているという状況に興奮するのか、曽根ははあはあと荒い息を吐きながら激しく腰を動かしてくる。強すぎる刺激は苦痛でしかなく、早くいかせようと、整は曽根の腰に両脚を絡ませて内側をぎゅっと締め付けた。身体を密着させる体位に変わり、整のくびすじに顔を埋めて、曽根が自らの快感を追うことに集中し始める。後は曽根が達するまで、なかを締め付けながら腰を揺らせばいい。声が漏れないようにくちびるを噛みしめ、ふと城野の方を伺った、その時だった。  整は身体をこわばらせた。曽根を抱きしめる腕に、力を込める。  薄闇のなか、城野は、はっきりと目を見開いていた。  表情は読み取れない。ただ深い海の底のように黒く濡れた瞳が、整を凝視している。視線が絡み合ってもなお、城野は整から目を逸らそうとはしない。  見られていた。そしていまも、すべて見られている。衝撃や動揺や羞恥や、言葉にならない感情が一気に溢れ出し、身体ががくがくと震え、必死で抑えていた声が零れ落ちる。
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