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WANTS
「颯真って残酷ね」
2年付き合った彼女に言われた言葉は、
今まで自分に向けられたことのない言葉だった。
一体、何が?
俺のどこがいけなかったんだ?
少なくとも俺は、いつでも美樹が喜ぶように嫌な思いをしないように考えてきた。
……それが自分にとっても幸せだと信じて。
なのに……
「なんでいっつも…一番欲しいモンは手に入んねーんだろ……」
ちっさい頃からいつでも一緒の幼馴染がいた。
沙織と皐月。
幼稚園で皐月がイジメられた時、俺はイジメてきたヤツらを殴りに行った。
一緒にいるとイジメられるからもう遊ばない、と言った皐月を沙織は抱き締めた。
「たっちゃんと一緒にいられなくなる方がイヤだ」と泣きながら……。
……俺には、先生からのお説教と親父からのゲンコツ。
子どもながらに胸が痛んだっけ。
俺が欲しかったのは、あの小さな手の温もりだった。
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