21人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
「や、やめろ!近づくな!」
「この子だけは、お願い、助けて!」
月奈は、この日、秘めた力が暴走していた。月奈が成長を止めたのも、常人が持たぬ力故の事だったが、今それはどうでも良かった……
生気を失い、悪鬼の如き表情の月奈は、村人を根絶やしにし、返り血を全身にあび、真っ赤に染まっていた。
そして、一つの村が壊滅した。自我を失った、月奈は、別の村をも襲った。
人々は、月奈を鬼と呼び、恐れ、次は我が身かと、その地域一帯に噂がひろがっていた。
自我崩壊を起こした月奈は、ある日、邪神が封じられたという噂がある、山の祠へとたどりついていた。
『そなた、心が壊れておるな……』
「……」
月奈は、ただ呆然とその声をきく。
『大切なものをなくしたか、我と同じだな。このままでは、そなたも我と同じ道をたどることになるな』
そう伝うと、体を光で包み込む。
『我と共に眠れ、何もかもを忘れて……』
最初のコメントを投稿しよう!