いつか、あの星のように

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この街には智哉との思い出が多すぎて 道を歩いても、公園の横を通り過ぎても かつてそこにあった智哉の姿を思い出し、いないとわかっているのに探してしまう。 寂しくて、悲しくて、涙が止まらなくなって そこから動けなくなりそうになるけど 俺は涙を拭い、足に力を込めて一歩を踏み出す。 智哉は泣いてもいいとは言ったけど 立ち止まってもいいとは言わなかった。 最後にくれた智哉の優しさと思いやりを 俺はちゃんと受け取らなければいけない。 ひとりでだって強く生きていかなければならない。 見守ってくれているはずの、智哉が笑顔でいられるように。 好きだよ。 智哉がこれまでにくれたこの言葉と想いが いつか思い出になっても、忘れることなんてない。 初めて好きになって 初めて自分より大切に思えたお前のことを忘れることなんてないから。 あの星だって、本当は消えたんじゃなくて 人には見えなくなっただけなのかもしれない。 例えそれが本当に消えたとしても、ちゃんとその光を俺もお前も覚えている。 その存在は完全に消えたりなんかしないんだ。 現に今も俺の中にはお前がいる。 確かに時間が経つに連れ、記憶は薄れ色は褪せるのは否めないけど。 消えたりなんかしない。いつも俺の心の中にいる。 それ以上涙が溢れないように見上げた空に 一筋の流星が流れたのが見えて、自然に笑顔になる。 ーーーーーずっと好きだよ、周ちゃん その時、耳元で 大好きだった声が聞こえた気がした。                     Fin
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