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いつか、あの星のように
「ちょっとだけ家に来ない?」
夜。
突然電話で俺を誘った幼馴染と一緒に
ガーデンルームのソファに並んで座る。
部屋の明かりも、ガーデンルームのランプも全部消した月明かりしかない薄暗い空間の中、星空を見上げる幼馴染の隣に座り、こいつがここに俺を呼んだ真意を探るように
その横顔に時折視線を向ける。
月明かりの青白い光にに浮かび上がる横顔から
吐く息が白く浮かぶ。
冷たい空気のせいか、薄暗い月明かりのせいか
幼馴染の顔色がいつもよりひどく白く見えるから心配になって
自分の首に巻いていたマフラーを外し、着込んだダッフルコートの上から
首にぐるぐると巻きつけてやる。
「え、俺寒くないよ?マフラー取っちゃったら周ちゃん寒いよ」
「俺はいい。智哉こそ風邪ひいたらどーすんだ」
「平気だよ。窓締めてるし、コート着てるし。毛布だってホラ」
そう言って智哉は得意げに自分の腰から下、ぐるぐるに巻いたチェック柄の毛布を指して
ニッコリと笑う。
「ふうん。だったらいいけど」
「ホントは少し寒いけど、ここが良かったんだ。
ここで周ちゃんと話したかった」
いつものように、緩く微笑みながら
それでいて俺の方に視線は向けず、自分の足元を見ていた智哉は
今度はゆっくりと空を見上げた。
つられて俺も空を見る。
冷たい空気のせいだろう、真っ黒な空の中
たくさんの星がとても綺麗に見えた。
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