40人が本棚に入れています
本棚に追加
*
夜空を見上げていた。
かつて冬の寒い時期に幼馴染と並んで座り
夜空を見上げた、遠いあの日のように。
4月の終わりとはいえ、深夜の空気はとても冷たくて
じっとしていると身体の芯から冷えて
風邪を引いてしまいそうだと、軽く首に巻きつけていたマフラーを
改めてきつく隙間なく巻き付けた。
見上げた空には星が零れ落ちそうなくらいたくさん光っている。
綺麗だな。
特に星に興味があるわけじゃないけど単純にそう思う。
智哉がいなくなってから
こうやって夜空を見上げることが多くなった。
ーーーーいつかのあの星みたいに、どこにいても周ちゃんのことずっと思ってるから
残してくれたあの言葉を思い出し
星の綺麗な夜は、智哉の存在を近くに感じられる気がするから。
「4月はこと座流星群が見れるんだってさ。
運がよければ今夜もたくさん見られるらしいぞ」
返事はないと分かってるけど、話しかけずにはいられない。
そうして未だ自然に溢れ出す涙に苦笑しながら、手の甲で頬を押さえる。
最初のコメントを投稿しよう!