いつか、あの星のように

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いつからだろう、智哉は俺に まるで挨拶をするかのように「「好き」と言うようになった。 最初、それは他の友達や家族に言う「好き」と同じ意味だと思っていた。 だけど、いつも隣にいるうちに 一緒にいるうちに智哉が俺に言う「好き」は、他のそれとは違う意味なんだと感じ始めた。 そして、高校生になった昨年の春、思い切って尋ねた。 どうしてお前は俺に好きだと言うのか、と。 そしたら智哉はいつもと同じ、柔らかい笑顔を浮かべながらも 俺には視線をむけないままに答えた。 「俺は周ちゃんが好きだから好きって言いたいんだ。  いつ言えなくなるかわかんないから、言えるうちにいっぱい言っとくって  決めたんだ。  僕は周ちゃんが好きだよ。幼馴染としても、友達としても、それから」 それから。 それから。 言い淀んで、その先は結局言ってはくれなかった。 言えなかった理由も、その先の言葉も 俺には見当が付いていたのに。 何故だろう、そのときはそれ以上聞けなかった。
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