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「あ、これも言っときたかったんだ。
寂しいときは泣いていいんだからね」
「何だよそれ」
「別に。ただ、言っときたかっただけ」
「変な奴」
「へへ」
本当はその言葉の意味も分かっている。
俺が智哉の前では絶対に泣かないから。
これまでずっと智哉を守るために泣けなかったから、守らなくてよくなったらーーーー
自分がいなくなったらもう我慢する必要ないからって言いたいんだと。
時間の終わりを覚悟した幼馴染に俺は
どんな言葉を返せばいいんだろう。
慰めの言葉も、憐れみの感情も違う。
どこにも行くなと引き止める言葉も、もう違うと感じた。
近い未来。
俺の幼馴染は、自分に訪れるだろう現実と
ずっと前から向き合っている。
ずっとそばで見ていたから
ずっと見つめていたから
わかりたくなんかないけど、俺にはわかってしまっていた。
智哉が生まれた時に宣告されたより早い、タイムリミットがもうすぐそこに
迫っているんだろうということに。
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