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「あなたこそ、こんな所になんの用なの」  抑揚はなく感じ悪くも聞こえるが、その透き通った声は微かに震えていた。 「僕は仕事。出張だったんだよ」 「だった?じゃあもう終わったの」 「そうだよ」 「へぇ、そう。じゃあ私に付き合ってくれないかな」 「えぇ……何でだよ。だいたい僕ら、初対面だろ?」 「ううん」  彼女は否定し、首を横に振った。 「そんなはずないだろ。僕は君のこと、覚えてないし知らない」 「そっか。それなら仕方ないね」
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