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僕は痛む頭を押さえながら、ぐるっと部屋の中を見回した。
学生寮の二段ベッドの上が僕の定位置。そこから見えるのは、僕と颯真の勉強机とクローゼット。積み重なった大量の書籍群。
いつもの見慣れた景色。
のはずなのに、なんだか変な感じがする。
視線を落とすと、床に開いたまま放り出されている本が数冊目に飛び込んできた。
本はあるけど持ち主の姿は見えないってことは、読みかけのまま片付けずに部屋を出たってことだろう。ったく。整理整頓を心がけろっていつも言ってるのに、颯真のやつ。
「……あれ?」
とりあえず放り出された本を片付けようとベッドの梯子に足をかけ、下に降りた所で本日二度目のあれ、が僕の口から飛び出した。
おかしい。
二段ベッドの梯子ってってこんなだったっけ?
ってか、このベッドってこんなに高かったっけ?
上の段の僕のベッドはちょうど目線の所にあったはずなのに、どうしておもいっきり顔を上にあげないと見えないんだろう。
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