ああ、焦がれて

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 声がする。透き通った芯のある声。  ぼんやりと輪郭も覚束なかったモノも、文字の羅列だけだったモノも、点と線だったモノも、彼の声に命を吹き込まれる。  彼の声は拍動だ。  いつか私の指先から生み出されるモノにも彼の声が宿ればいいのに。  そう願う私は、満月に焦がれる兎に似ている。
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