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親友の結花が駅のプラットホームでまだ待ってくれていた。
肩先まで伸びた結花の猫毛みたいなフワフワした髪が風で揺れているのが遠くからでも分かった。
「穂花っ、遅い!!
あともう少し遅かったら私先に行ってたんだからね!せめてLineくらい返してよねー」
「ごめんごめんっ、本当に時間なくてダッシュしてきた。」
ハァハァと息をつきながら、
走った時にグチャグチャになった髪の毛を整える。
あー、もう少し早く起きてたら、ちゃんとヘアアイロンもしたのに…
肩の先で跳ねている自分のくせ毛が疎ましかった。
そう思って二度寝してしまった自分を疎ましく思っていると
「ねぇねぇ、穂花っ。アレ例の彼じゃない?!」
結花の指差す方向を見つめると、あ…!
瞬間、心臓が早鐘のようにドクンドクンと急に刻み出すのが分かった。
あの人だ…
人より一つ分背の高いあの人。
遠くからでも目立つ。
端正な顔立ちで、目鼻立ちも整ってて
髪型変えたらホストにも間違えられるんじゃないか…と思うくらい。
何で?
もう随分前から、電車では見かけなくなってたのに。
目が合うわけではないのに、姿を見た瞬間ぎゅうと胸が苦しくなった。
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