6人が本棚に入れています
本棚に追加
あの日、
私はいつもの電車に乗っていたはずなのに
信じられないくらいのギュウギュウ電車の中にいて、息もできないくらい…
体制を維持するだけで、本当に大変だった。
聞けば高校の方面で人身事故があって、
電車が大幅に遅れてるとのことだった。
ヴ…苦しい
駅に着き、また更に新しい人が押し寄せて来た時だった。
ふっと一瞬身体が楽になったような気がして横を見上げると例の彼が電車のつり革部分のバーを持ちながら空間を少しだけ開けてくれてることに気づいた。
あ…
お礼をいうか迷ったけど、人もいっぱい居たし
私だけの為ではないかもしれないので
結局何も言えず仕舞いだった。
それから最初は、
何回か同じ電車に居合わせたけど、同じ電車ではすれ違わなくなり、
いつからか会えなくなってしまっていた。
その彼が約3カ月ぶりくらいに目の前に居た。
「穂花っ、チャンスだよ!久しぶりに会えたんだから、声掛けに言ったら?」
「でも何て?!もう3カ月も前のことだよ。
相手も覚えてないって!」
「だから、何でも良いんだって!!道尋ねるとかでも良いしっ、ほら早く!!」
そんな押し問答をしているうちに
「○○行き、発車致しますー」
え?!私達2人が気づいたときには
お目当ての電車の扉が閉まってしまい、
唖然とする私達の前を無残にも電車がすり抜けて行ってしまった。
最悪だ…
「あり得ない…」
結花も想定外のこの事態に、唖然としていた。
こんな漫画みたいなことある?!
その後私達が学校でコッテリ絞られたのは言うまでもない。
最初のコメントを投稿しよう!