第1章 出会い

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その日の放課後。 生活指導の先生にコッテリ絞られたあと、 私は今日のことについて宥められながら、 彼氏と帰った結花とは道も分かれて、 ゴトゴト揺れる帰りの電車の中に1人でいた。 日が沈むのも随分早くなって、帰る頃には西陽が所々電車に入り込んでいた。 地方によくある二両編成のワンマン列車。 「あーもう付いてないなー」 人もほとんど居ない車両だったので 両手を前に伸ばし思わず口に出してしまった。 すると近くから 「ぷっ」と笑った声が聞こえ、 そちらの方を振り向くと例の彼が居た。 ドキン…急に胸が高鳴り苦しくなる。 しかもその彼がこちら側にやってきて、 「ここ良いっすか?」と私が答える間も無く 私の隣にストンと座ってしまった。 え、え、え、なにこの状況?! いや、う、う、嬉しいけど… 急な出来事に頭がついていかず、 頭がシロクロしてしまう。 そして、隣に座った彼は改めて人より頭一つ分 背が高いなぁと思う。 「イヤ、突然笑ってすんません。 だってあなた今日面白い事しかやってないんですもん」と謝りながらも笑われてしまった。 「え…」と緊張と状況の把握が出来ず 言葉を繋がずにいると、 「いや、たまたま見えたんすよ。 今朝確かあなたの友達と話してて、電車先に行っちゃいましたよね?!」 あの場面、見られてた。 最悪だ…顔が急に火照ってくるのを隠せずにいると 「いや、別にバカにしたわけじゃないんです。ちょっと面白くてつい…」 矢継ぎ早に話しかけてくる彼に、 上手く言葉が返さずにいると 「あ、もしかして覚えてない?!昔隣に住んでたカズノリですよ」 と言われた。 最初はうまくシンクロせず、頭が過去の記憶を遡る。 カズノリくん、カズノリくん…え、え、 え、「えーっ?!一也(かずのり)くん?! えっ、だって、だって印象全然違うっ。ほら背だって…」 昔、我が家の隣に住んでいた井手一也くん。 確か同い年で、
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