第1章 出会い

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めちゃくちゃ頭が良かったようなそんなイメージの子。でもあの頃は… 「あの頃は、身長が160くらいしかなかったですしね。あの後25センチくらい伸びたんです。 マジで。」 「え、引っ越して行ったのが一昨年だったから去年1年で25センチ伸びたの?!」 「そうっす、で今から学校行くんですよ」 と言ったので 「え?だって学校ってもう終わってるんじゃ…?」 と言いかけて、彼が私服だったことに気づいた。 今まで舞い上がり過ぎてて、 全然気づけなかったけど、 彼は私服だったのだ。 「もしかして、もしかして定時制とかなの?」 頭の良かった彼が何でと思ったけれど、 思わず聞いてしまった。 「そうっす。俺ん家親が離婚して、 今母親と弟と3人暮らしなんで昼間は工事現場の仕事してるんですよ」 「…そうなんだ、一也くん頭良かったのに…」 言ってしまった後に、ハッとしたけど遅かった。 「ん~まぁ、確かに特待生みたいな制度で入るって方法もありましたけど、ほら一日中授業とかで拘束されちゃうでしょ?ウチ年子の弟がいるから、ヤツの来年の事とか考えると金がほしくて。今は昼間働けるんで逆に有り難いっすよ」 そうやってニッコリと笑う彼が可愛かった。 少し日に焼けた肌と白いカットソーがとても似合ってたし、すごく好青年に思えた。
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