7人が本棚に入れています
本棚に追加
あの日も僕は今日と同じように、この木の上で昼寝をしていた。
ガサッ、ガサガサッ
「あら、先客がいたのね」
木の枝や葉が大きく揺れる音がした後、そんな若い女の声が聞こえた。声の方へ顔を向けると、やはりそこにはあちらこちらに葉っぱをくっつけた少女がいた。風で彼女のふわふわとした香色の髪がそよぎ、陽の光で透き通って見えた。
「こんにちは!」
彼女は明るく僕に話しかけてきたけど、僕は1ミリも表情を動かさずに無視をした。
「ちょっと!無視はひどくない?」
―ひどくない。僕は1人で静かに過ごしたいのだ。
「まあ、いいわ。私、マーガレット、マーガレット=バートン。皆、私のことをメグって呼ぶわ」
―どうでもいい。はっきり言って、興味ない。
「あなたは?」
僕は彼女の質問に答えるわけもなく、ずっと無表情で知らぬふりを続けていた。
「まあ、いいわ。そうね… 決めたわ、あなたのこと、ルーって呼ぶわ」
―何だ、その間抜けな名前は!?
僕は名前に対する不満と、いつまでもここに居続ける彼女に対する苛立ちを込めて、彼女を睨みつけた。
最初のコメントを投稿しよう!