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僕にここにいることが怒られないとわかると、ほっとしたように肩を撫で下ろした。そして静かに太い枝に腰かけた。
彼女は以前とは打って変わって、本当に静かだった。だから僕は微睡みながら、彼女がすぐ近くにいることを忘れかけてさえいた。たが夢の国へいざ旅立とうとしたとき、何だか周りが騒がしくなり、僕を現実世界に引き戻した。
馬の足音と嘶きが次第に大きくなり、男の声もしっかりと聞こえてきた。
「おーい!メグ、私の愛しのメグ、マーガレット=バートンよ、どこにいかれたのか」
オペラのような芝居がかった台詞に、僕は背筋が寒く感じた。その一方、僕はふと気づいてしまった。
男は確か「メグ、マーガレット=バートン」と叫んでいた。そしてその名前の少女を、僕は1人だけ知っていた。僕は咄嗟に彼女の方を振り向いた。
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