ちこく、ちこくぅ

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 ピピピピピッ  携帯のアラームが俺の幸せの時間に終わりを告げる。  寝ぼけた頭で時間を確認すると携帯は八時を知らせていた。  俺はそのデジタル表示を見るや否や文字通り飛び起きた。 「やばいっ、遅刻だ!」  心臓が早鐘を打った。テーブルの上にあるタバコに手を伸ばし火を付けて一呼吸して心を落ち着かせ、頭をフル回転させる。  今日は大事な会議があるから九時前には八時半には着いておきたかったのに。  職場まで最短でも五十分はかかる。しかも駅からバスで行くところをタクシーで行くから余計に出費もしてしまう。  しかし背に腹は変えられない。  半分ほど減ったタバコを灰皿で揉み消し急いで支度を始める。  一呼吸置いて今の状況とやる事を整理したおかげでなんとかスムーズに支度を済ませることができた。  家を出てからも思いのほか順調で、幸運にも発車直前の電車に滑り込むことができたのだ。    これならなんとか会議には間に合う事ができそうだ。  安心したのもつかの間、降りる駅に間も無く到着しようかと言う時に電車がいきなり停車したのだった。 「お客様にお知らせします。ただ今緊急停止ボタンが押されたため、安全確認をおこなっています。安全が確認され次第運行を再開いたします。ご迷惑をおかけしますが発車までしばらくお待ち下さい」  車掌独特のダミ声で間延びしたアナウンスが車中に響き渡る。  それを聞いて俺は愕然とするのだった。
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