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【文化祭まで一ヶ月】
授業が終わっても帰る生徒は1人もいない。むしろ、帰ったら翌日責められるか、酷く怒られるか。なんにせよ良いことは絶対に起きない。
1ヶ月後にうちの中学の学園祭がある、放課後はその準備に追われるからが理由。
私は生徒会所属のためその忙しさは他とは別格。生徒会役員の先輩方から「40℃の熱でも這ってこい!」その時の眼力、気迫に私達新役員は首をガクガクと縦に動かすしかなかった。
今日も大変になりそう。
生徒会室に入ると大村哲会長が忙しそうにPCを操作していた。私は壁に掛けてある指示の書かれたホワイトボードに目をやる。
、、、フリーズ、、、
念のため言うが大村会長のPCではない、キーボードを忙しく叩く音がどこか遠くで微かに聞こえている。それでも私の思考は確かにフリーズしてしまった。10秒、15秒、いいや30秒以上かも。
「そこに書いてあるけど町田は軽音部のことを主に頼むことになったから」
カタカタカタ、、、大村会長は両手を止めず顔も上げずに伝えてきた。
「なぜで、しょうか、、?」
「部長の獅子峰さくら、同じクラスだったよな」
任せたぞ、と大村会長は手を止めず顔だけ上げた。その任せたぞには一体どんな意味があるのか。それでも私は「嫌です!無理です!」なんて言葉は言えず「行って来ます」と引きつった笑顔で言うしかなかった。相手は学園祭準備に追われている生徒会長だし、逆らったらどうなるか怖い。
(私の中では獅子峰さんは怖くないけど充分相性無理な子なんだけどっ!)
生徒会室を出て軽音部の部室までどんどん歩く。
これから大変な人に会わないといけないんだから、心が折れ曲がらないよう自身にありったけの気合いを詰め込もう。
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