5 異変

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5 異変

 俺たち野良にとって、安心できるねぐらはとても大切だ。狭くて、暗くて、囲まれていて、外から見えない。そんな場所がいい。  俺と弟は最近、気に入りの場所を見つけた。それは、ワナビが洗濯機の横に置いた段ボールの中だ。ちょうど良い穴があいているし、ビニール袋で囲まれていて雨も入って来ない。この場所を見つけてからは、よく寝られるようになって体調も良い。  それなのにその日、弟は様子がおかしかった。腰が抜けてふらふらして、タオルの上で、にゃーにゃー鳴いた。俺は体を寄せて眠った。  キヨシサンがウラセサンともめた日から数日経った昼間。俺が駐車場の木箱の陰で休んでいると、人間たちが車のまわりで話しているのが聞こえた。 「清さん、浦瀬さんに注意したの?」と、オカアサンが言った。 「仕方ないでしょう、こっちは迷惑してるんだから。それとも、お義母さんが代わりに言ってくれるの」  キヨシサンにそう言われて、オカアサンは下を向き、黙って車に乗り込んだ。  キヨシサンは誰にともなく言った。「あのババア、いくら言っても無駄なんだよ。保健所に言われたって聞かないんだから」     
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