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するとヨーコサンが縁側から出てきて、駐車場に降りながら言った。
「息子さんたちも寄りつかないでしょ。どっかに越してくれないかしら」
「保健所がなんとかしろってんだよな。こっちは税金払ってるんだ」
キヨシサンとヨーコサンは怒った口調で言葉を交わしながら、車に荷物を運び込む。
やがて作業を終えると、「戸締まりしてくる」と言って、ヨーコサンが表へまわった。
「うん」と、キヨシサンはヨーコサンに言って、車の中のオカアサンに声を掛けた。「お義母さん、もっとシート下げていいよ。足が楽でしょ」
そしてキヨシサンが乗り込み、車がぶるると震え、駐車場から出て行った。
俺は広くなった駐車場の真ん中で鳴いてみた。しばらくやってみたが、あまり面白くないので、庭を横切って2階屋の天井裏に忍び込んだ。暗い天井裏に一筋の光がある。天板が1か所ずれているのだ。
俺はいつもの様に覗き込んだ。
ワナビが光る板の前で何かやっている。こいつは大体光る板の前にいて、指を動かしたり、じっと板を見たりしている。
俺はあの板を見ているのが好きだ。色々と形が変わるし、飽きない。もっと近くから見て、あのたくさん並んだボタンを押してみたい。隙を見て忍びこんでやろうと思っているが、なかなか機会がない。
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