9 おわりに

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9 おわりに

 この出来事がなければ、私はいまも実家でくすぶっていたかもしれない。そうなれば両葉草ふうに出会うこともなかったであろう。祖母のお陰で、私は餌づけされる立場から抜け出し、人生と向き合うきっかけを得た。  この翌年、祖母は亡くなった。夕食の時間になっても出て来ないので父が見に行ったら、チッチを膝に抱いて眠るように死んでいたそうだ。小説家になった姿を見せられなかったことが悔やまれる。  チッチは、いまも実家で大切に飼われている。    了
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