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A「あら、久しぶり。一年振りね。……そう、受かったのね。おめでとう。……私にしては珍しいって?そんなことないよ。………うん。勿論私は受かったわ。………そう。明日出発なの。………連絡ならまた取れるよ。お互いの連絡先持ってるんだから。…ねえ、男女の友情って成立すると思う?………聞いてみただけよ。私にはそんな人は居ないし。………うん、そうなんだ。……私?私はありだと思うよ。格好良くない?そういうの。………これ?雪景色が綺麗でしょ?向こうに見える川の土手も白くなってて、撮りたいなって思ったの。なにせ元写真部部長だものね。あなたも元副部長なんだし、たまには写真でも撮ってみれば?…………そうね。でもあの場所に居るときが一番楽しかった。二人でいろんな写真を撮りにいったわ。この景色も昔撮ったよね。今では年に一回しか来ないけど…………うん。今では年一回しかあなたに会えないし、それ以外の日に行きたくない。…………私もあれから、随分親と話したけど、駄目だった。………やっぱりね。私達、早すぎたのよ。きっと。…………だって、理解されるには早すぎたじゃない。………そうね、もう遅いものね。・・・それより、楽しい話をしましょう。この前、資料館の人から連絡が来たの。…………忘れたの?ほら、私達が七夕祭りの写真を撮りに行ったときに知り合ったじゃない。…………今年も是非写真を撮りに来てくれって。……懐かしいよね。ほら、覚えてる?あの資料館で見た七夕の寸劇。…………そうそう、あの迫真の演技。驚いたよね、子供に見せるためなのにあんな迫力でやるんだもの、ビックリしちゃった。……………何それ、上手い上手い!あなた演劇部にも入れるんじゃない?…………え、あたしも?………嫌よそんなの。…………分かったよ。じゃあ私が彦星ね。…………え?いやどっちかっていうと私の方が彦星っぽいでしょ。じゃああの川の向こうに行くからちゃんと喋ってね。………そりゃあやるからにはそれっぽくないとね。ほら、織姫と彦星の別れのシーン。……そうそう、あそこ天の川を挟んでやってたじゃない?そうした方がそれっぽくない?……じゃあ私向こう側に行くから。・・・・・・・・・私の声、聴こえる?……うん。じゃあ始めよっか。」
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