冷凍睡眠からの覚醒

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「ただ、二つ問題があった。その場合、秒速22キロで大気圏突入しなければならない。また火星の公転位置からランデブーを行えるタイミングは大気圏突入の30分前になってしまうから、本当に真理を確保して、そのまま大気圏突入シーケンスに入れるのか・・?」 「一つ目の課題は耐熱タイルのアップデートでぎりぎりの目処が出た。二つ目は、真理がアポロンでペガサスから離れてくれたから容易に君を確保することが出来た」 真理は思った。 (そう言う事なんだ。亮太は一年前に出発して火星のスイングバイで速度を確保したんだ・・凄い、そんな計画を私の為に考えて実行してくれるなんて・・) 亮太がアルバトロスのピッチを40度に上げた。 直ぐに大気圏突入が始まる。 コックピットの窓に赤いプラズマが輝き始めた。 凄い減速Gだ。身体がシートに押し付けられる。 「予定より速度が速い。空力加熱の温度も高い。これはやばいかもしれない・・」 亮太が呟いた。 でも、真理は幸せだった。 もし、この大気圏突入が失敗しても亮太と一緒だ。 彼は天国でも真理を本当に守ってくれるだろう・・ 真理は宇宙服の左手を亮太に伸ばした。 亮太も右手を伸ばして来る。 ギューと握りしめた。 「真理は俺が、絶対守る!」 亮太が叫んだ。 FIN
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