どうせなら夕日が綺麗な日に

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「どんな景色が見える?」 声はまた聞いてきた。 「綺麗な夕焼け」 私は正面から夕日を浴びた。 「そっちは?」 逆に聞いてみた。 「どんより曇り空」 それを聞いて私は驚いた。 「そりゃ災難だね」 「うん」 「どうせなら綺麗な景色がいいよね」 「うん」 「じゃあせっかくだから、お互い晴れた日に一緒に死なない?」 「そうする」 私たちは電話を切った。 こうして、私たちの寿命は少し延びたのだった。
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