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心地よい風を感じて、ゆっくりと目を開けた。
風の吹く方向を向くと、朝日に照らされて輝く海が窓から広がっている。
空いた窓から風が吹き、白いカーテンとふんわりとたなびかせる。
私は気だるい体を起こし、身にまとっているハイビスカス柄のワンピースを見下ろした。
首にはお馴染みのハイビスカスが連なったネックレスがかけられている。
一回ため息をつき、ベッドから立ち上がり寝室のドアを押し開けた。
そこは、オープンキッチン付きのリビングだった。テーブルには、焼きあがったトースト、サラダ、スクランブルエッグが丁寧に置かれていた。
「おはよう、真由」
入れ立てのコーヒーを両手に持って現れたのは、1ヶ月前から付き合っている正志だ。
にっこりと微笑み、背の高い彼は私を見下ろす。
私は息を吸い、微笑みかけながら彼の耳に触れる。
「今度一体、どこなの!?毎回毎回寝ている時に拉致らないで!」
「いてててて!」
彼の耳を思いっきり引っ張り、耳元で叫ぶ。
私の最近の悩みは彼の奇行「寝ている間に知らない場所に連れて行かれる(拉致)」というものだった。
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